HOME  劇場 もくじへ  物語総合目次へ        前ページへ  次ページへ

 

【ミコからの挑戦状の巻】 その3……藁菱作

(文中、れいぞー氏にきつい箇所がありますが、ミコさんの強いご要望に賛同したものです)
(なにとぞご理解・ご容赦のほどを)

******

「藁菱どの、からかわないでください」
「いや、失礼いたした(うっくっく・・)」
藁菱はなおも笑いをこらえているようである。
「それよりも『女人は山門に入るを許さず』って、あたしが入っちゃいけないってことなの?」
「さやう。にらなどの匂いのきついものを食した者とか酒気を帯びた者もな。
当山は厳しい禅寺ゆえ、このやうに決められておるのぢゃ」
「だけど普通の禅寺では『葷酒は山門に入るを許さず』だけじゃないのお?」
「そ・それはぢゃな・・」
そのとき白熊は藁菱に背中を向けるようにしてミコの腕をとり、耳元でなにかささやいた。
「それはですね、ミコさん。(ごにょごにょごにょ・・)」
「なにをこそこそ話しておるのぢゃ?」
「(ごにょごにょごにょ)」
「えーーっ! 『女人』のところは藁菱和尚がここに来てから書き加えられたのお?
どうりで『女人』だけ字が小さいと思ったぁ」
「シーッ。ミコさん声が大きい・・」
「しっかり聞こえたぞ。(-_-;)」
「でもどうしてなの?」
「そんなの判るでしょうが。和尚はマルSだからですよ」
「マルSって?」
「マル秘とかマル暴とか言うでしょうが。あのマルですよ。Sは・・(ごにょ)」
「えーっ! ス・・(うぐっ)」
白熊は慌ててミコの口を抑えた。
「しっ! みなまで言わないの」
それでようやくミコも小声になった。
「じゃああの注意書きは修行の邪魔になるからというよりは、女性を魔の手から守るためなのね」
「そういうこと」
「これこれ、そなたたち。なにか勘違ひをしておるやうぢゃの。
あの但し書きは当山に冷蔵なるものが出入りしておった頃に書き加えられたものぢゃ。
偶々(たまたま)わしが入山した頃と同時期での」
「えっ、そ・そうだったんですか。はは・・・(^^;;)
そうは言いながら、(やっぱりあんたのせいじゃないの?)という思いが抜けきらない白熊であった。
「しろくまどの、あなたもあなたぢゃ。わしとは長い付き合いであろうが」
「はあ、長いからこそ・・」
「ん? なんと申した?」
「い・いや。で、その冷蔵ってのはいまもこの寺に?」
「いや、このところ仕事が忙しいとかで当山には寄り付かぬやうぢゃ。
智老師のところにはちらっと姿を見せておったようぢゃがの」
「和尚さま、それならあたしが入ったっていいんじゃない?」
「ん? さやう・・・。ま、よからう。しろくまどのも喜びさふぢゃしのお。ふぉっふぉっふぉ」
「藁菱どの、またそれを・・」
「ん、違うたかな? よいよい。ふぉっふぉっふぉ。まあミコどのもお上がりなされい」
藁菱を先頭に、三人は寺の奥に入って行った。

******

(作註:れいぞー氏には悪玉として登場していただきました)
(なんで悪玉かと言うと、しろくまさんにラヴコールを送っておきながら、挨拶が遅れたからです)
(というわけで悪しからず。なお、今後の態度いかんでは極悪人にも善行者にもなりますぞ。(^^)

*****

「ときにミコどの。先ほども申したが、豊夢頁作りに凝っていなさるそうな」
「はい。見よう見まねで作っております。もうだいぶ出来たんですよ。p(^^)q」
「ほほう。ではちとそれを見てみることにしやうかの」
「えっ。そんなことができるんですか?」
「ふぉっふぉっふぉ。我が法力をもってすればたやすいこと。
さふでなくとも当山には浄玻璃の鏡といふのが伝はっておってな。
それを覗くと世の諸々の人々の所業が見えるのぢゃ」
「まあすごい! それってなんでも見えちゃうのお?」
「さやう。西洋の月城町(ムーンブルク)とやらにも『裸吾の鏡』とか申して、
それに姿を写すと物の怪の正体も顕われるといふものがあると伝へ聞くが、それと同じ力もあるといふな」
(えっ・・・)
「ミコさん、どうかしたの? 顔色が悪いみたいだけど」
「い・いえ・・しろくまさん、なんでもないのよ。ちょっと夜更かしが続いたから・・・」

(つづく・・・ミコさん頼むね)

HOME  劇場 もくじへ  物語総合目次へ        前ページへ  次ページへ

この頁のTOPへ

inserted by FC2 system