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【ミコからの挑戦状の巻】……藁菱作

「てえへんでぃてえへんでぃ、おやぶーーん」
「どうしたんでえ、六。またどぶにでも落っこったのけえ?」
「そんなんじゃねえんで、親分。いましがたあっしのところにこれが・・」
「どれ、かしてみねえ。下手くそな字だなあ。なになに・・・

『冷蔵さんの電子公開瓦版に藁菱の秘密をバラしておいた。
削除して欲しかったら、私の作ったできそこないのクッキーを10枚食べろ!
・・・・美しいミコより』

うっ。こりゃあ近ごろ豊田の街に出ると言う《百化けのミコ》からの脅迫状じゃねえか」
「そうなんで。なんでも怪しげな例食品(れしぴ)とやらを広めて、失敗作を罪も無え
人々に無理矢理食わせてるってえ話でさ」
「そいつぁひでえ話じゃねえか。ひとつ懲らしめてやらねえといけねえな」
「そうですとも親分。なんでも白熊の兄いもひでえ目に遭ってるらしいですぜ」
「そうと聞いちゃほうってもおかれめえよ。どれ、まず電子公開瓦版を見るとしようかい」
*
*
*
「なんでい。藁菱和尚がてめえのことを頭脳明晰だの○○○○だの言ってるなあ
先刻承知してらい。いまさら秘密でもなんでもねえやな」
「そうですぜ。こないだも誰も言ってくれねえから自分で言うしかねえってボヤいてましたっけ」
「ははは・・・。違えねえや。てめえで言ってる分にゃあ、お上もお咎めなさるめえよ。
それにしてもなんだな、改めててめえの財産てえかお宝を考えてみるのもいいかも知れねえな」
「いい機会ですね親分。あっしにとっちゃ親分が第一の宝でござんすが、親分はいってえ
何が財産でござんす?」
「六よお、おめえなかなか世渡り上手になりやがったじゃねえかい。
そうさなあ、俺の宝と言やあ、一粒種のバカ息子かなあ」
「へえ、やっぱりあんなバカ息子でも大事でやすかい?」
「おめえがバカバカ言うこたねえやな。ま、昔から言うじゃねえか・・・
『銀(しろがね)も黄金(くがね)も玉もなにせむに まされる宝 子にしかめやも』ってな」
「なあるほどねえ。それほど大事に育ててやった子供でも親孝行なんざしてくれねえご時世ですねえ」
「そうともよ。こないだも横丁のドラ息子が親御さんを大事にしねえから意見してやったんだ」
「へい」
「『おいおい、親は大切にするもんだぜ。昔から "孝行をしたい時には親は無し"、
"墓に着物は着せられず" ってえじゃねえか』とね」
「へいへい」
「『親は金で買えるもんじゃねえんだ。せいぜい大事にしてやるもんだぜ』ってな。
そしたらそのドラ息子、『買えねえかも知れねえけど、売れるもんでもねえや』って」
「ははは・・・(^O^)うめえこと・・・いや、す・すんません。
ところで親分、百化けのミコの方はどうしやしょう?」
「おっとそうだったな。まあ今のところ放っといてもいいような気もしてきたな。
なにせこちとらぁアレがオシメしてる頃から知ってるんだ。
秘密のバラし合いになった日にゃあ、こっちの方にずっと分があろうってえもんだぜ」
「ははは・・・今ごろくしゃみしてるかも知れやせんぜ。ハ・ハ・ハックショイ!
おういけねえクサメクサメと・・・」 (完)

(この物語はフィクションです。実在の人物とは一切関わりがありません。(^^;;)

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